秋のひとり旅
最後に向かったのは気になっていた名曲喫茶、柳月堂です
1階はパン屋さんになっており、2階で音楽を聴きながらいただくこともできます
階段をのぼった先は…
もう…
パラダイスでした
私語や音をたてる行為が一切禁止なので写真をとることはできませんでしたが、棚には数えきれないほどのレコード、前方には古いピアノやピアノに向かって座るちょっとくたびれたクマのぬいぐるみ…
どんぴしゃりで好みです…
この旅で1番長いこと、興奮のため息が止まりませんでした
(心の中でです、音をたてないように)
渋谷の名曲喫茶ライオンも好きだけれど、こちらは窓からの光のさし具合などがより好きだな
東京にあったら週に1度は通うのに
常連さんになりたい…
そんな思いに、しばしとりつかれてしまいました
1953年にオープンしたというこのお店
京都ですこしだけ大学生活を送った父もひょっとしたらこのお店に来ていたりして
父の青春時代ってどんなだったのかな…
珍しくそんなことにも、思いを馳せてしまいました
こちらでは曲のリクエストも可能
せっかくだからと、ラヴェルの「ソナチネ」をお願いしました
至福…
ちなみにこちらはたまたまお客さんがいなかったのでお店の許可をいただいて撮影したバータイプのお部屋
ここも素敵です
実はあまりの居心地の良さに、帰りの新幹線の指定席券を諦めて滞在を伸ばしてしまいました
でも結局自由席でも無理なく座れたし結果的には大満足
今回の2泊3日の西への旅
振り返ってみればどの日も大満足だったな
やっぱり旅はいい
気持ちが若返ります
最近小旅行が多くて海外にご縁がないので今年か…難しければ来年には、ぜひ海を越えたいな
旅は生涯の楽しみになりそうです
ひとり旅の3日目
向かった先は2度目の京都国立博物館
長谷川等伯筆の楓図を観てみたいなぁと思っていたら、ちょうど京都国立博物館の国宝展に
出展されていることが分かったのです
国宝展ということで、予想はしていましたが会場はオープン前から長蛇の列
幸い雨に降られなかったのと本を携えていたので、待ち時間はさほど苦にはなりませんでした
会場内もとても混雑していましたが、縄文のヴィーナスや天寿国繡帳・病草紙・雪舟の慧可断臂図などを拝むことができたり、楓図もじっくり鑑賞することができたので貴重な時間になりました
達磨さんに振り向いてほしくて腕を切り落とす慧可さん
結構ホラーなシーンではありますが、私にはだるまさんが静かにぎょっとしているように感じられて、そこはかとなく漫画に通ずる雰囲気が醸し出されているように思えます
いつか、智積院で等伯パパの楓図と愛息子久蔵の桜図を両方観てみたいな
妻にも久蔵にも先立たれた後に等伯が描いた松林図屛風も必ずや、観てみたい
観たいものがあるって、少し大げさかもしれないけれど、生きてゆく活力でもありますよね
最近彫刻にも興味が湧いてきたので、朝倉彫塑館などにも行ってみたいな
混んでいたけれど、見ごたえ十分の企画展でした
2015年5月15日1刷 2016年3月16日3刷
講談社 ¥460(税別)
劇作家でもあり、小説家としても飛ぶ鳥を落とす勢いの本谷さん
お恥ずかしながら芥川賞を受賞するまで存じ上げなかったのですが、改めて経歴を拝見すると戯曲でも最年少での受賞、小説でもそうそうたる賞を総なめ
本作もあとがきを何と大江健三郎さんが書いておられてびっくりしてしまったのですが、どうやら大江健三郎賞受賞作のようでした…
本書には13の短編が収められているのですが、村田沙耶香さんに近いような突拍子のなさや奇想天外な内容で、瞬く間にその世界に引き込まれてしまいました
中でも掴みの巧みさが印象的
「しもやけを利用して足をくっつけてみようと思うの」
朝ご飯を食べたあと、彼女が言いだした。
これは「人間袋とじ」という作品の冒頭です
しもやけ?
しもやけを利用して足をくっつける??
狙い過ぎた出だしには鼻白んでしまう生意気人間ですが、この出だしにはしっかりすっかり吸い寄せられてしまったなぁ
こうした吸引力にはきっと劇団をまとめたり戯曲を書いてきた彼女のキャリアがいかされているのでしょうね
全体的には一般受けを狙わずに鋭い眼差しで社会を風刺する内容が多いのですが、ひと匙のユーモアが添えられているので辛辣さが過ぎるところもないのがお見事だと思いました
他にはどんな作品を書いているのかしら
短篇だけでなく、もっと長い話も読んでみたい
古本屋さんで駄菓子程度のお値段で手に入れた本でしたが、かなり得をしてしまった気分だな
ほくほく気分になった読書でした
ひとり旅2日目
竹生島、ヴォリーズ建築巡りの後はバウムクーヘンで有名なクラブハリエへ
関東ではお目にかかれない沢山の洋菓子ラインナップに鼻の下が伸びっぱなしでした
そしてお菓子好きの旅はつづく
さらに自転車をとばした先はラ コリーナ近江八幡
たねやさんの和菓子・洋菓子が楽しめる場所ですが、今回は食い気にも増して藤森照信建築の実物を見たかったのです
藤森先生らしい、自然をふんだんに取り入れた建物
水戸芸術館での企画展でラ コリーナのミニチュア版を拝見していたので、実物を拝むことができてうれしかったです
それにしても、お客さんがたくさんだったな
観光バスが何台も停車していて、その盛況ぶりにびっくりしてしまいました
お店の中
こちらは和菓子エリア
こういうの、たまりません
洋菓子エリアにて、本日のおやつを入手
ちょっと不思議な趣の天井
木炭なのかな
藤森先生の自然素材へのこだわりと茶目っ気が感じられます
もはや観光地と化しているさまには少々驚いてしまったけれど、自然をいかした建築が人気になるというのは嬉しいことではありますね
ラ コリーナが地域の活性化にもつながっていたら素敵なことだと思います
今度は藤森プロデュースの茶室の中に入ってみたいな
高過庵とか
道路を隔てた先には蓮畑が
近江八幡、歴史も自然も建築も、美味しいお菓子まであって住みたくなる街でした
竹生島を堪能した後、安土城関係の観光もしたかったのですが、時間の都合で断念
向かった先は近江八幡
建築家でもあり、メンソレータムで有名な近江兄弟社の創立者の1人、プロテスタントの伝道者でもあったヴォリーズの建築を生で観てみたいなと思っていたのです
近江八幡の駅で観光案内所のおばちゃんに尋ねたところ、1番有効な交通手段はレンタサイクルとのこと
高校生以来乗っていなかった自転車というものに、急遽挑戦することになったのでした
事前に見学申し込みなどをしていなかったので外観を眺めるのみでしたが、なんだかあたたかく
ほっこりするような建物が多かったな
ヴォリーズさんの像と、マイフェロー自転車
近江兄弟社の史料館にも行きました
当時の人気商品メンソレータムには
それにあやかるコピー商品が横行したよう
日本にもこんな時代があったのだな
よい運動と観光になりました